Updated at: 2014-02-05

ゲームデザインについて考える

関連 tkDocs

僕が定義するゲームとは

最低限、以下の 3 つが必要

  • 相互作用
  • ルール
  • ゴール

面白くてもゴールが無いケースがある。それは「おもちゃ」と呼ぶ。

師は言った

  • (よくないゲームは)かけざんになってない

  • 神ゲーとは何か?
    • 人が作っていないゲームのことです
    • 人は社会しか作れないけど、神は世界を作る

俺は思う

  • 引き算のデザイン
    • 武器や防具の要素を足す、みたいな汎用的なやつは足すのは簡単
    • 今回のゲーム性で、それを足して本当にシナジーがあるのか? を考える
    • たとえば爆弾を投げるゲームだったら、武器や防具みたいな概念も爆弾の種類で表現できないか? とか

  • ゲーム、さらに言えば世の中は結局 2 つだ
    • 1. ゴールに向かうための直接的なアクション
    • 2. そのアクションを最適化するための間接的なアクション
  • タワーディフェンスは 1 と 2 のバランスを配分する代表的なゲーム
  • ボードゲームも「1 と 2 のバランス配分」に帰着することが多い

  • 面白くないと批判することと、何故それが面白くないのかを説明できることは大きく違う

  • 作品自体が説明になっていなければ、誰も立ち止まらない

  • 人は「楽」で「楽しい」ものに流れる
    • 同じ楽しさのものがあれば、楽な方に流れる
  • 実質やっていることが同じでも、手触りや表現が変わればより楽しいものになったりもする
    • ビデオゲームはアナログゲームと比べてルール・メカニクス以外の部分でも グラフィック、音楽、操作性などで差別化ができる
要素 ポジティブ ネガティブ
世界観 グッとくるフレーバー 一貫性の無いディティール
エフェクト 小気味なエフェクト 単調なエフェクト
動作速度 心地よい反応速度
気にならないロード時間
微妙なラグやカクつき
長いロード時間
展開 自然な導入
段階的開示
とってつけたチュートリアル
いきなり全システムの提示
システム 受け入れやすいルールと UI 難解なルールと直感的でない UI

ゲームデザインのツール

  • タスク管理でよく見る重要・緊急の 4 象限は、戦略ゲームのプレイヤーの 行動の選択指針になるんじゃないか
緊急 緊急でない
重要 (A)【攻め】
勝利点を直接稼ぐアクション
(B)【備え】
勝利点を稼ぐ効率を上げる、未来のためのアクション
重要でない (C)【ペナルティ】
やりたくないがやらなければならない、
敵の嫌がらせ。ディスアド
(D)【遊び】
勝ちにはつながらないが楽しいこと。戯れ

面白くするテクニック

  • 操作そのものが楽しい、結果として面白くなるような場合にアドバンテージが得られるようにする
    • スプラトゥーンの「塗り」など

  • ある楽しい操作でアドバンテージが得られた場合に、さらにその操作が効率的にできるようにする
    • 拡大再生産
    • 塊魂で大きな塊をつくる → さらに大きなものを巻き込める、など

プレイヤーをやる気にさせるテクニック

【関連】ユーザ心理 / 人のやる気

  • 人はまだ見ぬものを求める
    • 未開の土地、新しいスキル、新しいキャラ、展開するシナリオ
  • 情報が「ちょっと予測できる」くらいの塩梅が一番探索したくなる
  • 誰もがレベルアップ・拡張・最適化を望む。レベルアップしたらその状態を試してみたくなる
  • 社会性のあるものはやる気を生む(誰かとつながる、誰かを喜ばせる、誰かを支配する)
  • 買い物や育成など、カスタマイズ性(自分の好きなものを選ぶ、personalization)は楽しい
    • 好きなキャラや好きな戦略など、拘りが埋める環境はより深くのめり込める
  • 本能的に気持ちいいことはやりたくなる
  • 逆に、無くてよい障害は排除する(ラグがある、一貫性が無い・納得感が無いデザインなど)

外的報酬によるもの

  • ご褒美の獲得や、罰則の回避
  • 「あれを得ればこの先楽になる」とイメージできたとき、それをやるまではやる気が持続しやすい

内的報酬によるもの

  • 内発的動機づけ(自分自身の好奇心などによるもの)は強いやる気になる
  • 「やりたいからやる」ので手段が目的 (自己目的的行為) になる
  • 「ああすれば強いんじゃないか」「俺だけがこのやり方を思いついてるんじゃないか」などと 思わせることができればよりゲームに没頭させられる

面白さの段階

面白いと感じるのにいくつかのフェーズがある

  • 話を聞いてみて面白そう
  • 映像を見て面白そう
  • さわりはじめて面白い
  • 慣れてきて面白い
  • やり続けて面白い

面白さの種類

有名どころ:カイヨワの 4 分類

  • アゴン (競争) / 運動、格闘、レース
  • アレア (偶然) / くじ、賭博
  • ミミクリ (模倣) / 演劇、物真似、ごっこ遊び
  • イリンクス(目眩) / メリーゴーランド、ブランコ

自分なりの整理

色々あるけど例えば:


  • 意思決定 (ジレンマのある選択、戦略、デッキ構築、ギャンブル、買い物、アイテムの使用)
  • 発見 (新要素、新スキーム、未だ見ぬストーリー、創発)
  • 謎解き (パズル、ミステリー、未知なるもの)
  • 追体験、模倣、空想(ストーリー、キャラクター、世界観)

  • アクション(リアルタイムの選択、タイミング、リズム)
  • 手触り (UI, 相互作用、エフェクト、音)
  • 眩暈、陶酔、演出を味わう (視覚効果、音響効果、振動)
  • レベルアップ (能力の向上、脳トレ、最適化、効率化、やれることの拡張、加速)

  • 対人 : 優位性の誇示(競争、駆け引き、自己顕示)
  • 対人 : 社会性 (コミュニケーション、協力、自慢、共感)
  • 創作 (斬新な戦法、ステージデザイン、キャラメイク、建築)
  • ユーモア (冗談、お笑い)

その他

  • 自分から世界に干渉できるタイプのゲームと、 世界からの干渉に対して受け答えるゲームがある
    • ピッチャー・バッター理論
    • ローグはピッチャー、タワーディフェンスやシューティングはバッター

面白さの引き出し

  • 隠されたものがある
    • 長くプレイするとちょっとずつ見つかっていく → スルメ感
    • 説明しきれないフレーバーは隠し要素にするなど

  • 人間に備わっている原始的な欲求や、文化に依存しないコンテキストを突く表現は強い
    • 音や手触りが気持ちいい
    • 収穫するのが嬉しい
    • 最適化・レベルアップが楽しい

  • 何か起こりそうなワクワク感
    • 思わずさわってみたくなる見た目

  • 双方向性 - ゲームからのレスポンス
    • 攻撃すると怒って向かってくる敵とか

  • 臨場感・空気感
    • 歩いたところの草が揺れるとか
    • 風や湿度を感じる表現とか
    • 「重い扉」などは音を入れると手軽にそれっぽく感じられる

  • プレイヤーへのサービス精神
    • 「失敗」と「成功」を、「成功」と「大成功」に置き換える
    • うまくプレイしたときにはちゃんと褒めてあげる
    • 面白くなるようなプレイをしたときに、たくさん得点できるルールにする
    • プレイヤーが頑張ったなら、失敗していても何か見返りを与える
      • (頑張った上で成功したら、さらに大きな見返りを与える)

面白さのキーワード

  • 追う / 追われる
  • 非現実に巻き込まれる
  • 未知との遭遇 / 新規開拓
  • できることが増えていく / 勢いが増す
  • 仲間が増えていく
  • 考えたものをカタチにできる

デザイン・構成・演出の引き出し

  • 対照的なものの組み合わせ
    • 光と影 / おっさんと少女 / 物理と魔法 / ペンと剣 / 硬いと柔らかい / 破壊と創造

  • プレイヤーのゲームプレイに合わせて変わる演出
    • ANUBIS のエイダ「あなたの場合は近距離戦ですね」「あなたなら勝てるかもしれません」

  • 忘れた頃に出てくる系
    • MOTHER2 の最初の名前入力
    • ヘラクレスの栄光4で、アトランティスの壁に刻んだ言葉

チュートリアルの引き出し

  • 本当に体験させたい「ユーザの真の心の動き」を再現させなければ、身につかないしとってつけたように感じるし面白くない
    • 【退屈】さあここを押してこの武器を強化してみましょう
    • 【面白い】お前にこの貴重なクリスタルをくれてやる。一番気に入っている武器を強化するのに使いなさい。 さあ、どれを強化するかね?

ゲームデザインとマーケット

  • 対象ユーザは変わらなくても、時代が変われば環境は変わる
    • 2015 年のティーンズはスマフォのゲームをたくさんやってる、とか