Updated at: 2014-08-23
ユーザ心理 / 人のやる気
人はどうすればやる気になるのか
目標勾配効果
- 目標に近づくほど「やる気」が出る
- 「あとちょっとで達成」のとき、すごくやる気が出る
- 前進の幻影を与えるだけ でも、達成への動機づけ効果が得られる
- ポイントカードをもらうとき、後者の方が人はスタンプを集めるのが早くなる
- A. 欄が 10 個で、最初にスタンプが1個も押されていない
- B. 欄が 12 個で、最初にスタンプが2個押されている
- 目標に向かって進むとき、「何が終わったか」より、「何が残っているか」 に注目しがち
報酬とやる気
- 報酬に変化がある 方が強力
オペラント条件付け
- オペラント条件付け における、4つの強化刺激(報酬)の与え方のパターン
- 固定間隔:n分に1回もらえる。nは固定
- 変動間隔:n分に1回もらえる。nが変動する
- 固定比率:n回に1回もらえる。nは固定
- 変動比率:n回に1回もらえる。nが変動する
- 人からもっとも高い頻度で反応が返ってくることを望むならば、変動比率スケジュール を用いればよい
- 「n〜m分に1回もらえる」 パターン
- スロットマシンは変動比率。遊んだ回数によって得られ、変動条件である
- (ポイントカードとかは固定比率)
- メールやツイッターも変動比率スケジュールで動いているので、人は同じ行動を繰り返しやすい
強化
- 連続強化 よりも 部分強化 の方が続けてもらいやすい
- 連続強化:毎回行動するたびに報酬が与えられる(行動を覚えさせたい場合に有効)
- 部分強化:n回に1回報酬が与えられる(行動を続けさせたい場合に有効)
- オペラント条件付けが機能するためには、対象が「ほしいもの」を与えなければならない
- 報酬を得たときよりも報酬を期待しているときの方が脳は活発になる
情報を求める意欲
- 人は情報を探し続けようとする
- 情報を見つけやすくするほど、人は情報探索にのめり込みやすくなる
- ドーパミンは最近の研究では快楽物質ではなく 欲求物質 だといわれている
- ドーパミンが出ると何かを欲したり、望んだり、探したりしたくなる
- 人は予測ができないと探索を続ける
- メールなどはいつどこから送られてくるか予測不可能
- こうした予測不可能な出来事がドーパミンシステムを刺激する
パブロフの条件反射
犬にエサ出すときにベルを鳴らしてたら、そのうちベルだけでよだれ出すようになったって有名なアレ
- ドーパミンシステムは「報酬がもらえそう」という兆候に敏感
- 携帯電話の着信音なんかはパブロフの条件反射が起こる例
- ドーパミンが放出され、情報探索が開始される
ドーパミンシステム
- ドーパミンシステムは情報が少しずつもたらされるとき、もっとも強く活性化される
- つまり情報への欲求が完全に満たされないとき
- Twitter の 140 文字はここをうまく刺激してる
- メールやツイッターをチェックし続けるのは ドーパミンループ にハマっている
- ドーパミンループから抜け出すには情報探索環境からの離脱が必要
- コンピュータの電源を切り、携帯を手の届かないところに置くなど
- メール受信などの音やアイコンのお知らせ機能を止めるのも強力
- まとめると
- 音などによる通知と情報の到着を結合させると、探索欲求が増強される
- 情報を少しだけ与え、さらに情報を得るための手段を提供すると、情報探索行動が増加する
- 情報の到着が予測不能であるほど、人はその情報の探索にのめり込む
内的報酬と外的報酬
- 内的報酬のほうが外的報酬よりもやる気が出る
- 内的報酬 :やりがい、達成感、充実感など(自発的な感情)
- 外的報酬 :昇給、賞与、昇格など(前もってきちんと説明されている報酬)
- 内発的動機づけ :好奇心や関心によってもたらされる動機づけ。(単にゲームが面白いからやるなど)
- 外発的動機づけ :義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけ。(昇給を目指して仕事をするなど)
- 「外的報酬」では、報酬が与えられなくなるとかえってその行動が減少する
- 3グループで実験した
- A. 子どもたちに「よく描けたで賞」を見せてから、それを目指して絵を描かせる
- B. 賞に触れずに絵を描かせ、しばらくしてから期待していなかった賞を与える
- C. 対照群。賞に触れずに絵を描かせ、賞を与えもしない
- A が一番絵を描く時間が短くなった。B と C は絵を描き続けた
- 外的報酬を与える場合、予期しないもの であるほうがやる気を起こさせる
- 仕事に対して金銭的報酬を約束すると、ドーパミンが放出され、大胆な行動が増加する
- しかし金銭を与えると金銭的報酬に依存するようになる
- 金銭による誘いがなければ働こうとしなくなる
- 昔の作業的な仕事から、現代では発見的な仕事にシフトしている(先進国の 70 %の人がそういう仕事)
- 伝統的なアメとムチは外的報酬
- これは作業的(アルゴリズム的)な仕事には向くが、発見的な仕事には向かない
- 発見的な仕事では、達成感という内的報酬が得られる
- 伝統的なアメとムチは外的報酬
社会性とやる気
- 人とつながる機会を生む(社会を構成できる)ものは強力なやる気を生む
- 人は他人とつながるというだけで、その製品を使う気になるものである
- リピーターの増加を目指すなら、単に報酬がもらえる仕組みよりも「人々が本能的にやりたいと思うこと」をさせる仕組みが必要
- 友達とつながるとか
- 新しいことを習得するとか
- 競争意欲はライバルが少ないときに増す
- 10人以上いることがわかると競争意欲が低下するとか
人のやる気の性向
- 近道は簡単に見つかるときしかしない
- 人は効率化を目指すが、ショートカットが見つかりにくかったりそれまでの習慣が見についていたりすると、慣れた方法で作業し続けてしまう
- 人は人の行動を「状況」のせいではなく「性格」によるものと判断しがち
- 特に個人主義的行動を重視する文化(アメリカなど)で。
- 東アジアなどではアメリカほど多くない
- 一方、自分の行動は状況のせいにする傾向がある
- 特に個人主義的行動を重視する文化(アメリカなど)で。
- 自分が先入観を抱いていないか別の観点から検証するクセをつけよう
- 「根本的な帰属の誤り」を犯さないようにしよう
どこまでやるか
- 人は本来怠惰な生き物
- 人は長い進化の過程で、エネルギーを節約すれば健康で長生きできることを体得してきた
- ハーバート・サイモンは 「人は最良のものより、大体満足のいくものを選択するものだ」 と提唱した
- あらゆる選択肢を徹底的に検討することは、無駄に労力を使うだけでなく現実には不可能である、という考え
- 人は「最良化」ではなく 「満足化」 するものであるとする
- じっくり読んでもらうより、ざっと把握してもらえるようデザインするとかね
その他 Tips
- 退屈な作業は、好きなやり方で行うのを許すことでやる気を削ぐのを防げる
- 進歩や熟達はやる気につながる。
- 目標に向かって進んでいることをユーザの目に見える形で提示しよう
- 欲しいものを我慢できる人とそうでない人がいる
- 幼少期の頃にすでにそうした傾向は出ている
- 我慢できないものは希少性(残りは3個だけ、とか)に弱い