Updated at: 2014-08-23

ユーザ心理 / 人の記憶・思考

人はどう記憶するのか

ワーキングメモリ

  • ワーキングメモリの容量と学校の成績は比例する

  • 一度に覚えられるのは 4つ まで
    • チャンキング を使うと覚えられる量を増やせる

  • 4の法則は記憶の呼び出しにも当てはまる
    • 長期記憶として後から完全に思い出せるのは、カテゴリ内の情報が1〜3個のとき

覚える

  • 情報を覚えておくには使うことが必要
  • エキスパートは情報をスキーマに保存する
    • 熟達すると、大量の情報をひとまとめにして記憶できるようなる

思い出す

  • 情報は思い出すより認識するほうが簡単
  • 記憶は思い出すたびに再構築される
    • 記憶は変容する
    • 鮮明な記憶でも間違っていることがある

忘れる

  • 人は忘れる
    • 何を忘れるかは無意識に決定される
    • ユーザが忘れることを前提にデザインすべき

人はどう考えるのか

情報の処理のされ方

  • 情報は少ないほどきちんと処理される

  • 段階的開示
    • 人がそのとき、その時点で必要としている情報だけを提供すること
  • 重要なのはクリックの回数ではない
    • 段階的開示によるクリックの増加なら喜んで受け入れる
  • 心理的な負荷には差がある
    • ゲームなどは敢えて負荷を増やしたりする

強制されたときの思考

  • 認知的不協和 が生じたとき、人が不協和を排除する2つの方法
    • 1. 自分の信念を曲げる
    • 2. いずれかの考えを否定する

  • 強制されると人は信念を変える
    • 本当にそうだと思い込んでしまう
  • 強制されなければ人は主張を貫く

思考とストーリー性

  • 人は物語を使って情報をうまく処理する
    • 情報は因果関係を伝える
  • 人は例を使うとうまく学べる

  • 因果関係の飛躍
    • 人は物事に因果関係を当てはめたがる
  • 「母親が怒りを爆発させた。翌日息子の体はあざだらけになった」
  • 明示されていなくても、「母親のせいであざができた」と結論を出す
  • 後から聞くと「母親が殴った」みたいに書いてあったと思い込んだりする

人の考え方の性向

  • 人は 30 %の時間はぼんやりしている
    • 人は限られた時間しか作業に集中できない
    • 人がネットサーフィンを好むのは、注意散漫な行動ができるから
    • ユーザが注意散漫になったときでも、「現在位置」がすぐにわかる仕組みを用意しよう

  • 自信がない場合ほど人は守りの体制に入り、より強く主張する

  • 人は分類せずにはいられない
    • 未分類の情報が大量にあると、人は圧倒され、自分でカテゴリ分けしようとする

  • 時間は相対的である
    • 時間に追われている状況では、立ち止まって他人を助けたりはしない

考え方と文化

  • 文化は考え方に影響する
  • 景色の中の牛の写真、景色と牛のどちらに目が行くか?
    • 東洋で育った人
      • 人間関係を重視、背景や景色により注目する
    • 西洋で育った人
      • 個人主義的、前景や中心的なもの、目立つものに注目

創造性の4つのタイプ

「熟考的、自然発生的」と「認知的、感情的」のかけ算

熟考的 自然発生的
認知的 エジソンタイプ / 高いレベルの知識と長い時間が必要 ニュートンとリンゴタイプ / 静かな時間が必要
感情的 癒し効果のあるアハ体験 / 問題に取り組むのを一旦やめてその場を離れる必要がある 芸術家、音楽家 / 才能。後天的に獲得することは不可能だろう

フロー状態

ゲームをつくるなら、プレイヤーを フロー状態 にもっていくのが有効

  • フロー状態の性質
  • 作業に没入している(気を散らす要素が無い)
  • 具体的で達成可能な目標をもっている
  • 定期的なフィードバックを得ている
  • 自らの行動がコントロールできている
    • 特に何かに立ち向かうような状況では、プレイヤーがそう思えることが重要
  • 時間間隔が変化する(遅くなるという人も、速くなるという人もいる)
  • 自分に危険が迫っていると感じなくなる
  • フロー状態に入らせるためのポイント
  • 行動を本人にコントロールさせる
  • 現在の目標が「困難だが達成可能」なレベルにする
  • 難しい目標は何段階かに分ける
  • 絶えずフィードバックを与える
  • 気を散らすものを最小限にする
  • フロー状態への入り方は、人によってさまざま
  • フロー状態は文化を超えた、人間の共通な体験
  • 人はフロー状態を好ましいものだと感じる

人はどう決断するのか

決断と無意識

  • 決断には無意識が深く関与している
    • 本人でさえ決断の本当の理由に気づいていない場合がある
  • 危険の兆候に対しては、まず無意識が先に気づく

選択肢の数

  • 人は自分の処理能力を越えた数の選択肢・情報を欲しがる
    • 情報には中毒性がある (ドーパミン効果)
    • 自分の決断に自信が持てないと、情報を求め続ける行為をやめられない
    • 選択肢を多くしたいという誘惑に負けてはならない

  • 選択肢が多すぎると思考が麻痺する
    • 24 種類のジャムの売り場と 6 種類のジャムの売り場
      • 24 種類のほうが人が立ち止まるが、購入する人数は 6 種類のほうが多くなる

  • 選択肢が多いほうが思い通りになっていると感じる
    • 人は「自分の行動には影響力があり、自分は決定権を持っている」と思いたがる
    • 一度提供した選択肢を取り上げると、相手は不満を抱く

気分と心

  • 多くの人は「お金」や「所有」よりも「時間」や「体験」を謳ったほうが、親近感を感じて心を動かされやすい

  • 意思決定には気分が影響する
    • 楽しい気分の人には、直感で素早く決断するよう求めれば製品を高く評価してもらいやすい
    • 悲しい気分の人には、逆にじっくり考えて決断するように求めよう

  • 自分のいつものやり方で決断できるとき、製品の評価は上がる

集団での意思決定

  • 集団的意思決定の危険性
    • 他のメンバーの事前の検討結果を知らされた上で討議を始めると、 その検討結果以外の肝心の情報にあまり注意を払わなくなるため、 最善の決定を下せなくなる

  • たしかな知識と技術を持つ 2 人が自由に話し合える状況ならば、1 人よりは 2 人の方がよい意思決定が行える

  • 確信がないときは人任せにする
    • 人は確信が持てないとき、他の人の言動に影響されやすくなる
    • 逆に言えば、ユーザの行動に影響を与えたいときは推薦文や評価、レビューが有効

  • 第三者効果
    • 人は、「他の人は影響されるが自分は違う」と信じ込む傾向がある
    • 「自分はだまされやすくはない」と、自分で自分をだましてしまう
    • だまされやすいのは自分で自分をコントロールできていないことであり、古い脳がそれを望まない